2021/05/25 13:50
はじめまして、大島 莉香(おおしま りか)と申します。 有明海で漁師一筋52年。中田水産・三代目の父のもとに生まれた三姉妹の次女です。 幼い頃から、春のわかめシーズンは一家総出で作業を手伝ってきました。 生まれながらに漁師の父は、妥協を許さず厳しかったです。 「芽の葉ん汚れん入っちょいやっか!ちゃんと1枚ずつよーとん見て切らんか!」 よく怒られました。職人気質というのでしょうか。 わかめのために機械を開発したり、1日で済む作業に3日かけたり。 昔から「わかめより美味しくする」ためにかける情熱は、誰もかないませんでした。 「実家のわかめ、バリうま!」と気がついたのは、実は就職して家を出てから。 当たり前のように食べていたので、他の味を知らなかったんです。 父のこだわりが、うちのわかめを美味しくしていたんだって。 そんな「わかめ愛」の強い父が、試行錯誤を重ねて商品開発したのが「めかぶとろろ」。 島原市特産品に認定され、ふるさと納税の品にもなりました。 豊洲市場や黒門市場に卸すことも決まった矢先のコロナ。 美味しいわかめは作れるけど、商売下手な両親。そして漁師ではない私。 目の前には「めかぶとろろ」のために投資した機械と工場があります。商品は作れる。でも、売る手段がない。 「パソコン?ネット?そがんこいば言われても、どがんもならんばい」 なんとか実家の力になりたくて、漁師見習い兼ネット営業販売部長になりました。 頑固一徹な父、それを支える母と叔母にもまれながら勉強の日々です。 「もう嫌だ」と落ち込む日もあります。 でも、波穏やかな有明海を見ながら潮風を浴びると、自然と力が湧いてくるんです。 「私も有明海が好きなんだなあー」と、父の血の流れを感じます。 一家で育んできたわかめ作り、そして生まれた「めかぶとろろ」。 有明海のこの風味を、全国の皆さまにお届けしたい。 「めかぶとろろ」が、幸せな笑顔あふれる食卓の彩りになりますように。